大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)1408号 判決

被告人 張秋金

〔抄 録〕

弁護人の控訴趣意第一点について。

一、原審第四回公判調書には、その作成に当つた裁判所書記官補金田英仁の署名下に、円内に金田の二字を刻んだ認め印を押し、且つ同調書の契印も右と同一の認め印を使用していること所論のとおりである。然し、刑訴規則第四六条第一項にいわゆる裁判所書記官の署名下の押印も同規則第五八条第二項の契印と共に、当該書類が作成権限と責務とを有する職員によつて作成されたことを保証する意味において、その目的にふさわしい適宜の印顆を押捺すべきことを要求しているに過ぎない。而して裁判所書記官については一応職印の寸法等についての定めもあるが、斯る職印を押捺しなければ書類としての効力を生じないとまでも解すべき根拠は見出せない。裁判官が公判調書に「認印」すべき旨定められているのは、裁判官が裁判所書記官の作成した調書を検認した旨を表示するために印顆を押捺すべきを規定しているに止まり、その印顆の種類は認め印と称するものたると職印たるとは敢て問うところではない。故に右「認印」の字句を基礎として裁判所書記官の押捺すべき印顆を職印に限定する所論は失当である。

二、原審第五回公判調書中記官録第八〇丁と第八一丁とにわたる間に同調書作成裁判所書記官補金田英仁の契印がないことも亦所論のとおりである。然し、右第八〇丁は証人布川美代子の供述記載末尾添附の宣誓書にして、第八一丁は被告人の供述記載の冒頭であり、而して同公判調書の別紙として編綴された書類は右証人および被告人の各供述記載の順序なることは同公判調書の(手続)として記載する部分によつて明らかであるから、右第八〇丁と第八一丁として排列されている両葉は、所期のとおり正確に連結されているものなることは容易に推知することができる。従つて、所論のように、両葉間に契印ない一事を以て同公判調書の無効を来すものと解すべき必要はない。

故に論旨は右孰れの点からみても理由はない。

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